雲取温泉 高田グリーンランド

 和歌山県新宮市にある研修宿泊施設。市が全額出資する財団法人が経営している。

 この温泉のウリは、関西では極めて珍しい白濁湯。果たしてどんな湯なのか興味があって、遠路はるばる訪問した。

 浴場に入ると、噂通りの白い湯を満たした主浴槽がある。しかし、その色を愉しむならば、露天風呂がお勧めだ。あとから増設したらしいそれは、長い廊下の先にあるのだが、ご覧のとおりの魅惑的な色あいである。

 一般的に濁り湯は、カルシウムと二酸化炭素を含む泉質のものが多い。湧出と共に生成される炭酸カルシウムの細かい結晶が光を乱反射して、お湯を白く濁らせるというメカニズムである。
 雲取温泉もきっとそうだろうと思っていたが、驚いたことに、この温泉の成分自体はほとんど井戸水同然なのだ。おまけに温度も温泉法の規定に達しておらず、実はフッ素含有量のみで温泉と認められた、いわゆる"規定泉"なのである。
 それが何より証拠には、正直言って特徴的な浴感は乏しいし、湯船や排水口に温泉特有の析出物の付着も見られない。無論、口に含んでも味も匂いもしない。(→ロビーに飲泉場がある)

 ならば、この白濁の正体は何なのだろう。脱衣場に掲げられた温泉分析書にも"微乳白色微混濁にて"とあるから、浴用加熱の過程で濁ったものではないようである。
 サンプルを採取して遠心分離器にでもかけたい衝動に駆られたが、まあ、そんな無粋なことは止めておこうと思う。変な理屈を考えるよりも、ここは素直に大自然の不思議さに感嘆して、目で温泉を愉しんだほうがいい。

 なお、この白濁湯、2004年9月5日に起きた地震で、より濁りが強くなったのだそうだ。
 『濁りが強くなったのなら、成分も...』という訳で行われた温泉分析の結果が下表な訳だが、湯温が落ちた結果、以前の"アルカリ性単純温泉"から規定泉になってしまい、効能をうたえないという皮肉な結果になってしまったようだ。

お気に入り指数:★★★☆☆

施設DATA
温泉名 雲取温泉
施設名 高田グリーンランド
施設の種別 宿泊研修施設
所在地 〒647-1101 和歌山県新宮市高田1810(地図)
電話番号 07435-29-0321
公式サイト 高田グリーンランド・雲取温泉
営業時間 11:00〜21:00(無休)
料金 大人:400円、小人:200円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つき貴重品ロッカー・ドライヤー
浴場施設 内湯(主浴槽、薬草風呂2)、露天風呂
駐車 可能
入浴日 2005年6月23日
備考 <0143>

温泉DATA
源泉名 雲取温泉(湧出地:和歌山県新宮市高田字向山1676番地)
泉質 (フッ素による規定泉)[低張性-アルカリ性-冷鉱泉]
泉温 23.0℃(気温:18.0℃)
湧出量 106L/min(動力揚湯20馬力)
知覚的試験 微乳白色微混濁にて、無臭、無味である。
pH値 10.1
ラドン ---×10-10キュリー
密度 0.9985g/cm3(20.5℃/4℃)
蒸発残留物 0.145g/Kg(130℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.142g/Kg
分析年月日 2004年10月27日
情報源 脱衣場の掲示(温泉分析書のコピー)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.1未満
ナトリウムイオン 38.9
カリウムイオン 0.5
マグネシウムイオン 0.1未満
カルシウムイオン 2.0
アルミニウムイオン 1.5
マンガンイオン 0.1未満
鉄(II)イオン 0.2
陽イオン合計 43.1
陰イオン mg
フッ素イオン 2.4
塩素イオン 14.8
水酸イオン 0.1未満
硫化水素イオン 0.1未満
チオ硫酸イオン 0.1未満
硫酸イオン 7.1
炭酸水素イオン 19.7
炭酸イオン 19.6
メタケイ酸水素イオン 34.7
メタホウ酸イオン 0.1
陰イオン合計 98.4

非解離成分 mg
メタケイ酸 0.1未満
メタホウ酸 0.1未満
非解離成分合計 ---
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.1未満
遊離硫化水素 0.1未満
溶存ガス成分合計 ---

 


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制作:2005年6月26日 修正:2005年6月26日