辰口温泉　辰口総合福祉会館

　辰口温泉は、1,400年もの歴史をもつ古湯である。
　数軒の旅館があるだけの温泉街はいまひとつ元気がないが、温泉そのものは地元の人々の生活にしっかり根づいているようだ。

　辰口総合福祉会館は小高い丘の上にある福祉センターで、その中に温泉浴場が併設されている。やわらかな陽光が降り注ぐ初夏の昼さがり、入浴道具を手にした普段着の人たちが案外多くやってくる。入浴料は200円。公営福祉施設とは言え、驚異的に安い。

　広いガラス窓をもつ浴室内には、打たせ湯とジャグジーを併設した主浴槽がひとつ。循環式だが、湯口に飲泉コップが備え付けられているのは、新鮮な源泉が投入されている証拠であろう。見れば、湯船の縁から結構なオーバーフローがある。
　源泉は新辰口温泉という名前で、1.5Kmほど引き湯されているらしく、付近の温泉旅館で利用されている源泉とは別である。
　泉質は含食塩-芒硝泉。今ふうに言うとナトリウム-硫酸塩・塩化物泉となるが、成分等の詳細は示されていなかった。あまり個性的な浴感はなかったけれど、硫酸塩を含む温泉は血管拡張作用があり、高血圧症や動脈硬化に効果的とされるから、日常的に入る温泉としては最適かも知れない。

　広いロビーにゆったりしたソファーがあり、浴後はのんびりくつろぐことができる。食堂も併設されているので、食事もOKだ。

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