ゆららの湯 押熊店

　今春(2005年3月)、奈良市北西部の住宅地に新規開業したスーパー銭湯。奈良市内に本拠を置く自動車修理会社が経営している。

　湯屋はたいへん落ち着いた造りの和風建築。民間のスーパー銭湯としては敷地も広くて、全体にかなりゆったりとした印象である。
　純和風の浴場とバリ島のリゾートをイメージしたという浴場があり、週替わりで男女が入れ替えになる。私が訪れた日は前者が男湯であった。

　内湯は主浴槽とサウナ付属の水風呂だけ。しかし、解放感溢れる露天エリアは秀逸で、この施設の"目玉"と言ってもいいだろう。
　2つの岩風呂と木風呂、足湯、塩サウナがある。各浴槽はそれほど大きなものではないが、青空の下、住宅地に残る里山の緑を借景に、市街地にあるとは思えない爽快な入浴が楽しめる。ゴロ寝エリアがたくさんあるのも嬉しい。
　豪快な音をたてて流れ落ちる滝と小川があるが、これは風呂ではなく、単なる装飾なので足を踏み入れてはいけない。東京の銭湯を思わせる富士山のペンキ絵が飾られているが、いったいどういう意図なのだろう。

　お湯は、溶存物質0.251mg/Kgの単純温泉。全浴槽が温泉水なのだそうだが、無色透明無味無臭の湯で、特徴的な浴感もない。限りなく井戸水に近いというのが正直なところだ。昨今は小さな源泉浴槽や壺湯を造るのが流行だが、そうした設備も見当たらなかった。循環式と言えども、毎分120Lの湧出量では、貴重な温泉水を浪費できないということだろう。『天然湧出温泉』なんぞという紛らわしい文句で宣伝しているが、もちろん自噴ではなく、掘削・動力揚湯であるので、勘違いされないように。

　畳敷きの休憩室、セルフ式食堂など、定番施設が揃っている。いずれも、じゅうぶんなスペースがあり、ゆったり寛ぐことができる。

お気に入り指数:★★☆☆☆