乗鞍高原温泉 湯けむり館



露天風呂から望む乗鞍岳


 長らく冬場の往来ができなかった安房峠にトンネルが穿たれたのは、1997年暮れのことである。信州と飛騨を結ぶ国道158号線は、通年通行可能となり、両者の往来は飛躍的に便利になった。

 前夜の宿である奥飛騨温泉郷・平湯から、全長4,370mの安房トンネルを抜けて信州乗鞍高原に向かった。トンネルが開通する以前の3月なら、考えられなかったコースである。

 沢渡を過ぎ、県道に入ってしばらく走ると、白樺の林の中に洒落たペンションや垢抜けた喫茶店が点在する風景が目に入る。行き交うクルマも半数以上が首都圏ナンバーで、素朴で土臭い飛騨とは明らかに異なる、東京の文化圏に入ったのだと感じた。

 乗鞍高原温泉湯けむり館は、村営の日帰り入浴施設である。入浴料は700円で、単に休憩室を利用するだけでも300円を徴収される。決して法外とは思わないけれども、首都圏からやってくる客を目当てに、なかなか逞しい商魂である。飛騨からトンネル1本抜けただけで、物価が2割高くなった感じだ。

 湯けむり館の源泉は、乗鞍岳の中腹に自噴する湯川温泉で、1976年、約7Kmの引湯に成功した。現在は周辺のペンションや旅館など約100軒で使用されているという。
 泉質は強い硫化水素臭を伴う硫黄泉。pH3.13と酸性度のかなり高い典型的な火山性の温泉である。湧出時は透明だが、時間が経つと白く濁るので、若い女性に人気がある。もっとも、その見かけとは裏腹に、酸性の温泉は肌をガサガサにしてしまうから、美容上は要注意であるのだが。

 浴場は、内湯と露天風呂が各ひとつというシンプルな構成。
 この日は雲ひとつない快晴であったから、人気の的はもちろん露天風呂である。端正な石張りの浴槽に、エメラルドいろに濁った湯が満たされている。かけ流しだそうだが、浴用加熱されているので、かなり熱めのお湯だ。皆、数分お湯に浸かっては、あとは湯船の縁で日光浴をしている。
 白樺林の先には、白く輝く乗鞍が見える。それは、息をのむほど美しい、見事な眺めであった。

 内湯は木曽サワラを使った木風呂で、こちらも大きなガラス窓があり、眺望がきく。

 湯上がりには、暖炉がある休憩ロビーでくつろぐことができる。食事はできないが、ソフトドリンクやビールなど、ドリンクメニューは豊富だ。

お気に入り指数:★★★★☆

施設DATA
温泉名 乗鞍高原温泉
施設名 湯けむり館
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒390-1513 長野県南安曇郡安曇村鈴蘭4306-6(→地図)
電話番号 0263-93-2589
公式・参考サイト 湯けむり館
乗鞍高原温泉組合
営業時間 09:00〜21:00(最終受付 20:00、毎週火曜日定休(祝日の場合は翌日))
シーズン中は定休日が変更になる。
料金 大人(中学生以上):700円、子供(3歳以上):300円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・ドライヤー・貴重品ロッカー
浴場施設 内湯、露天風呂
駐車 可能
入浴日 2005年3月21日
備考 <0122>










温泉DATA
源泉名 湯川温泉
泉質 単純硫黄温泉(硫化水素型)[弱酸性-低張性-高温泉]
泉温 43.7℃
湧出量 ---L/min
知覚的試験 ---
pH値 3.13
ラドン ---×10-10キュ リー
密度 ---g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.659g/Kg
溶存物質総計(ガス性のものを除く) ---g/Kg
分析年月日 1998年6月26日
情報源 脱衣場の掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
ナトリウムイオン 69.0
カリウムイオン 18.0
マグネシウムイオン 18.0
カルシウムイオン 57.0
鉄 (II)イオン 0.3
鉄 (III)イオン 痕跡
水素イオン 0.8
マンガンイオン 2.7
リチウムイオン 0.06
ストロンチウムイオン 痕跡
バリウムイオン 痕跡
アンモニウムイオン 0.5
アルミニウムイオン 3.5
陽イオン合計 ---

陰イオン mg
フッ素イオン 0.9
塩素イオン 80.9
臭素イオン 痕跡
硫化水素イオン 痕跡
硫酸イオン 321.5
硫酸水素イオン 8.5
リン酸二水素イオン 痕跡
陰イオン合計 ---

非解離成分 mg
メタケイ酸 145.8
メタホウ酸 5.6
非解離成分合計 ---

溶存ガス 成分 mg
遊離二酸化炭素 392.6
遊離硫化水素 75.8
溶存ガス成分合計 ---

 


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制作:2005年3月22日 修正:2005年3月26日