下呂温泉　クアガーデン露天風呂

　多くの古湯がそうであるように、下呂温泉でも、かつては湯が湧き出る飛騨川の河原を掘って湯浴みをしていたという。
　今は、河川敷に巧みにカムフラージュされた複数の源泉があって、ここから得た温泉水を一旦巨大な貯湯タンクに集めたあと、旅館やホテルに配湯する仕組みになっている。いわゆる温泉集中管理方式で、限られた資源を効率的に利用できる反面、どの施設でも基本的にはまったく同じお湯ということになり、温泉ファンとしては面白みがない。

　クアガーデン露天風呂は、その温泉集中管理センターに併設された日帰り入浴施設である。まなこ壁をまとったモダンな和風建築。傾斜地に建っているため、玄関が最上階、その階下が休憩室、入浴施設は更にその下のフロアになる。

　内湯はなく、露天風呂のみ。飛騨川河川敷が臨時の駐車場になっているため、高い目隠し塀があって、眺望はきかない。常時、お湯が流れる打たせ湯が2つあり、その捨て湯が主浴槽に流れ込む仕組みになっている。

　ひと昔まえは、どこの温泉浴場にもあった打たせ湯だが、最近めっきり姿が減った。
　じつは、打たせ湯に循環したお湯を使うことはレジオネラ菌感染症の原因になるとして、最近、厚労省からこれを禁止する通達が出されている。つまり、打たせ湯に使えるのは、原則として新湯に限られることになった。
　湯量の少ない温泉では、打たせ湯を撤去したり、押しボタンスイッチを取り付けるなどの対応を迫られたはずで、未だに常用の打たせ湯をもつあたりは、さすがに由緒ある温泉地の元湯の貫禄と言うべきであろう。 　

　ただし、お湯自体は、前述のごとくいまひとつ個性に乏しい"下呂温泉スタンダード"で、主浴槽はどうやら循環式のようだ。

　このほか、一人用の木風呂が3つ、蒸し風呂が2つある。シャワー完備も洗い場もあるので、身体を洗うことも不自由はない。

　畳敷きの広い休憩室があり、制限時間内なら何度でも入浴可能である。

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