小森温泉


池田継政が造った湯壷

 岡山県中部の山あいに湧く温泉。

 ここに温泉があることは古くから知られており、『一羽の鷺がここで傷を癒して飛び去った』というありふれた言い伝えも残されている。けれども、小森温泉が本格的に開発されたのは江戸時代で、1732年、岡山藩主池田継政が巨費を投じて石造りの湯壷と湯屋を造った。当初は領内唯一の湯治場として賑わったらしいが、湯温が低下したことなどから、数年を経ずして寂れてしまったという。
 それから200年余が過ぎた第二次世界大戦後、地元民による温泉復興運動が興った。1953〜54年にかけて湯元のボーリングを行ったところ、再び良質の温泉が湧出したので、池田家ゆかりの湯として復興されたのだそうだ。

 復興当初は、岡山市内から無料送迎バスが運転されるなどして人気を集めたようだが、それから半世紀が過ぎたいま、かくも由緒正しき小森温泉は再び"鄙び"の境地に達しつつある。
 国道429号線に面した木造モルタルの建物は、相当に年季が入っていて、廊下を歩くとミシミシ音がする。備品も古びていて、まるで20〜30年、時代を遡ったかのようだ。

 肝心の浴室は、この建物の地下1階相当の場所にある。焼谷川に面しているが、小さな窓があるだけで、眺望は効かず、ちょっと陰気な感じがする。

 温度が異なる2つの浴槽があり、いずれも源泉掛け流しとなっている。
 お湯は無色透明のもので、鼻を近づけると温泉らしい硫化水素臭を感じることができる。若い温泉ファンの姿は見かけなかったが、爺ちゃん婆ちゃんには人気があるようで、あまり広くない浴場は予想外の混雑ぶりであった。

 浴場のすぐ近くに前述の湯壷があり、自由に見学できる。縦横約5m、深さ約1.5mとのことだが、ぱっと見たところでは、"風呂"という感じはしない。

 この小森温泉のほかに、新しい洋風の宿泊施設もあり、ここでも日帰り入浴を受け付けているとのことであった。

お気に入り指数:★★★★☆

施設DATA
温泉名 小森温泉
施設名 小森温泉
施設の種別 旅館
所在地 〒709-2404 岡山県加賀郡吉備中央町小森245(→地図)
電話番号 0867-34-0015
参考サイト 吉備中央町ホームページ
営業時間 11:00〜20:00(日帰り入浴)
料金 大人(中学生以上):520円、小人(小学生以下):400円
1時間を超える場合、別途休憩料が必要
無料の備品 石鹸
浴場施設 内湯
駐車 可能
入浴日 2005年3月6日
備考 <0112>

温泉DATA
源泉名 小森温泉
泉質 アルカリ性単純温泉[低張性-アルカリ性-低温泉]
泉温 28.1℃
湧出量 ---L/min
知覚的試験 無色透明、殆ど無臭
pH値 9.4
ラドン 18.6×10-10キュリー
密度 ---g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.20mg(→掲示のまま。恐らく、正しくは0.20g/Kgだと思う。)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) g/Kg
分析年月日 1997年9月2日
情報源 ロビーの掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
ナトリウムイオン 72.5
カリウムイオン 0.7
カルシウムイオン 0.8
陽イオン合計 74.0
陰イオン mg
フッ素イオン 14.9
塩素イオン 31.2
硫酸イオン 6.0
炭酸水素イオン 62.8
炭酸イオン 5.7
水酸イオン 0.3
水硫イオン 0.3
メタホウ酸イオン 9.5
陰イオン合計 130.7

非解離成分 mg
メタケイ酸 16.0
メタホウ酸 0
非解離成分合計 16.0
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0
遊離硫化水素 0
溶存ガス成分合計 0

 


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制作:2005年3月6日 修正:2005年3月12日