湯郷温泉　湯郷鷺温泉館

　中国道で吹田から2時間。美作三湯のなかでは、もっとも俗化された---と言って悪ければ、いちばん開発の進んだ温泉である。田畑と里山が混在する一角に、巨大旅館が建ち並んでいる。

　湯郷鷺温泉館は、街の中心に位置する温泉センターである。
　最近急増した地方の公営温浴施設に似た造りで、"動の湯"・"静の湯"と名付けられた2つの浴場がある。この日は、前者が男湯となっていた。

　"動の湯"には、巨岩を配した露天風呂があり、定員2〜3人の小さな浴槽が階段のように配置されている。いちばん上の浴槽に注がれた湯が、次々と下の浴槽に落ちる仕組み。岩風呂の中心部にある"湯の噴水"が、噴き出したり止まったりしているが、これは間歇泉をイメージしたものなのだそうだ。
　大きめのあずまやの下には、同心円状の湯船があって、中心部は熱め、外周部はぬるめになっているのが面白い。巨大な滝があるけれど、滝壺には『ここには入らないで下さい』という立て札がある。どうやらこれは浴槽ではなく、純粋な演出用らしい。

　内湯は、縁が木貼りび主浴槽のほか、ジェットバスやドライサウナ、水風呂がある。

　お湯はどうかと言うと、残念ながらあまり特徴的な浴感はない。都会のスーパー銭湯と大差ない印象で、浴室内の飲泉場だけが、ここがまっとうな温泉地の元湯であることを主張しているようである。ちょろちょろ流れ出る温泉水を口に含むと、かなり強い硫化水素臭を感じた。

　ゆったりしたロビーがあるが、館内に飲食施設はない。

お気に入り指数:★★☆☆☆