のとろ温泉 天空の湯


お湯のオブジェ!?

 岡山県富村は、湯原温泉と奥津温泉の間に位置する山村である。人口わずか851人(2000年)のこの村に、2003年6月、立派な日帰り入浴施設がオープンした。

 役場から、行き交うクルマも稀な県道を10Kmばかり入ったところに、木造平屋の立派な施設がある。周囲は山また山で、人家や田畑は見当たらない。
 地下1,500mで掘り当てたアルカリ性単純温泉(28.0℃)は、250L/minもの豊富な湯量を誇り、太陽熱で加熱した上で、掛け流し方式で利用されているという。
 2種類の浴室があって、私が訪れた日は、"御影石の内風呂"と"展望の露天風呂"が男湯となっていた。

 内湯は端正な御影石張り。小さめの薬草風呂もある。そのフレーバーが鼻について、温泉そのものの匂いはわからない。
 露天風呂は、1,000m級の山々が連なる雄大な眺望がウリ。浴槽はシンプルかつ斬新な意匠で、シャワーのような"お湯のオブジェ"がある。私も含めて、打たせ湯と勘違いする人が少なくないようで、その旨の注意書きがあった。サウナや水風呂はない。

 内湯・露天ともに、豪快な量のオーバーフローがあり、見ているだけでわくわくする。しかし、浴槽にはお湯の吸い込み口・吹き出し口があって、私なりに考える"掛け流し"---浴槽から排出された湯は、いかなる方法であっても再び同じ浴槽には戻さない---とはちょっと違うもののようだ。

 館内には飲み物の自販機程度しかないけれど、隣接する"のとろ館"で、定食ものを含む食事が可能である。

 公式サイトによれば、開設後約10か月あまりで、3万人目の利用があったそうだ。1日平均たったの100人である。実際、この日夕方5時の時点で駐車場に停まっていたのは、私の愛車ともう1台の計2台だけ。公営温泉としては好感が持てる施設だが、今後、維持していくのは決して楽なことではないと思う。

 湯原、奥津という"ブランド温泉"を相手に、村当局の思い通りに観光客を集められるかどうか。これからが正念場だろう。

お気に入り指数:★★★☆☆

施設DATA
温泉名 のとろ温泉
施設名 天空の湯
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒719-3301 岡山県苫田郡富村大字富西谷2091-10(→地図)
電話番号 0867-57-2006
公式サイト http://www2.vill.tomi.okayama.jp/~onsen/
営業時間 10:00〜20:00(最終受付 19:30)
毎週月曜日定休
料金 大人:500円、小人(4歳以上):200円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー・化粧品
浴場施設 内湯、薬草風呂、露天風呂
駐車 可能
入浴日 2004年8月19日
備考 <0067>


温泉DATA
源泉名 のとろ温泉
泉質 アルカリ性単純温泉[低張性-アルカリ性-低温泉]
泉温 28.0℃(使用位置:41.0℃)
湧出量 ---
知覚的試験 無色透明、無味、殆ど無臭
pH値 8.9
ラドン 6.7×10-10キュリー
密度 ---
蒸発残留物 0.09g/Kg
溶存物質総計(ガス性のものを除く) ---
分析年月日 2003年7月15日
1Kg中の成分
     

    

陽イオン mg
ナトリウムイオン 20.0
カリウムイオン <0.5
マグネシウムイオン <0.1
カルシウムイオン 6.2
陽イオン合計 26.2
陰イオン mg
フッ素イオン 0.2
塩素イオン 3.0
硫酸イオン 11.8
炭酸水素イオン 44.5
炭酸イオン 6.9
陰イオン合計 66.4

非解離成分 mg
メタケイ酸 15.0
メタホウ酸 <0.1
非解離成分合計 15.0
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.0
硫化水素 0.2
溶存ガス成分合計 0.2

 


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制作:2004年8月21日 修正:2004年8月22日