幸楽苑(津南店)　★★★

　幸楽苑は、福島県郡山市に本部を置くラーメンチェーン店だ。数年前から西日本を中心に出店攻勢をかけていたが、2006年5月から、看板メニューの中華そばを390円から290円(税込み304円)に値下げした。驚異的な価格である。
　一般に、ラーメンは、飲食店のメニューのなかでは原価率が比較的低いことで知られている。普通は30%前後だというが、もし、これをあてはめると、この中華そばの原価は100円を切ることになる。果たして、その味はいかに...ということで試食してみた。

　供されたのは、透明感の高い醤油味スープに、チャーシュー・メンマ・海苔・白ネギがのった一杯。むろん、創業の地である喜多方の流れをくむ正当派ラーメンである。

　麺は、同社の特許製法で打たれる高密度多加水熟成麺。コシが強く、つるりとした喉ごしのちぢれ麺で、これは私の好みである。醤油味スープは、深いコク---とまではいかないものの、さっぱりした後味で、これまたよく出来ている。紙のように薄いチャーシューにはちょっと幻滅したが、それ以外の具はたっぷりで、少なくとも、安いめん類メニューにありがちなチープな感じはない。

　日本マクドナルドの"59円バーガー"に象徴されるように、2000年代に入ってからの外食デフレは凄まじいものがあった。競争に耐えられず、脱落していったチェーン店も少なくない。
　ラーメンに関しては、この過酷な競争の外にいたような印象がある(少なくとも素人目には...)が、果たして、この290円ラーメンは業界地図を塗り替えることになるかどうか、興味津々である。

2006.08.27制作