塩チャーシューメン 850円(税込)
1960年代末、サッポロラーメンが大ブレイクした。現在の"ご当地ラーメン"ブームのはしりである。
程なくいくつかの会社がフランチャイズチェーンの展開を始め、主要国道沿いには、多くのラーメン店ができた。当時、私は小学生で、父にせがんでサッポロラーメンを食べに連れていってもらった記憶がある。現在のチェーン店とは異なって、家族経営の小さなお店が多かったように思う。主人がカウンター内で調理し、妻がホール係兼レジ係をしているようなお店がほとんどであった。
弾力に富んだやや太めの縮れ麺に、たっぷりの野菜を載せたサッポロラーメンは、私の大好物である。
背油ギトギトのトンコツしょうゆラーメンに辟易しつつある今でも、サッポロラーメンなら食べたいと思う。スープを完全に飲み干さない限り、サッポロラーメンというのは、案外栄養のバランスもいいのではないか。ぼちぼち身体のことを考えねばならぬ年齢になると、こうしたことも頭をかすめる。
ところが、フライパンで挽肉と野菜を炒めて造る典型的なサッポロラーメンのお店を見かける機会は、少なくとも関西ではほとんどなくなってしまった。
『どさんこ』という看板を掲げたままの店はたまに見かけるが、とっくの昔に閉店した廃虚であったり、あるいは、定食や丼もの主体のめし屋になり果てていたりする。前述のごとく、家族経営の店が多かったから、後継者がいなければ、お店をたたむしかないのだろう。
さて、21世紀のいま、どういうわけか岐阜市とその周辺には、サッポロラーメンのお店が多くある。
いずれも、1970年前後にできた店の"生き残り"だ。このさっぽろ亭岐阜店もそのひとつで、1972年の開業だという。岐阜に行く機会があると必ず立ち寄ることにしているが、いつも結構混んでいるのが印象的である。
味噌ラーメンが看板商品らしいが、写真に掲げた塩ラーメンが私のお気に入り。
ツルツル・シコシコの麺と、シャキシャキした歯ごたえの野菜とメンマ、それに、どことなく昔懐かしい味がするチャーシューの取り合わせは絶妙だと思う。