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■新幹線を乗り継いで...■『スーパーはつかり20号』今日、これからのスケジュールは、かなりの強行軍である。特急3本を乗り継いで、午後3時まえに青森でいた人間が、その日のうちに大阪に帰り着こうというのだ。 青森→大阪の日着最終列車は、15時40分発の『はつかり22号』である。しかし、盛岡での乗り継ぎ時間がわずかしかないし、来年末にJRの経営から分離される八戸-盛岡間では、車窓風景が見られないだろう。そこで、1本早い『はつかり』に乗ることにした。14時40分の『スーパーはつかり20号』は、JR東日本の新型特急車両が充当される。 青森駅2番ホームには、赤と白のツートンカラーの特急が待っていた。E751系という交流専用特急車両である。現在は、盛岡-函館専用だが、将来は青函トンネルを通って、函館まで足を伸ばすことが予定されている。 20%程度の乗車率で青森を出発。広大な青森操車場跡地を右に見ながら、列車はどんどん加速する。やがて、左手に陸奥湾が見え、浅虫温泉を通過。 最初の停車駅は、野辺地である。地元銀行の広告がはいった大湊線の気動車が停車している。反対側には、南部縦貫鉄道のホームがあるが、営業が休止されて久しく、線路は草ぼうぼうだ。 車販ワゴンが回ってきた。各種弁当をはじめ、ビールやジュース、菓子などが満載されている。JR北海道では、車内販売の売り上げが低迷し、すべての業者が撤退してしまった。仕方ないので、JR自らが車内販売を行っているというが、東北地方は事情が違うのであろうか。 新幹線開業準備に忙しい八戸では、どっとお客が乗ってくる。 八戸を出た列車は、青森-岩手県境の山間部に入っていく。 新幹線の高架に圧倒されそうな沼宮内付近から、線路の周囲に民家が目立つようになる。青森ではほとんど見かけなかった瓦葺きの家が多い。 左手車窓には八幡平、反対側には、姫神山が美しい姿を見せている。在来線特急だと、両者をゆっくり見比べる時間があるけれど、来年、新幹線が開業したら、そんな暇はなくなるのだろうと思う。 16時52分、盛岡着。 ■2本の新幹線乗り継ぎ 新幹線改札口を入ると、ちょうど、東京からの『やまびこ・こまち19号』が到着したところであった。ここで、『こまち19号』が切り離され、在来線を改軌しただけの田沢湖線を大曲に向かう。 列車分割作業は完全に自動化されていて、あっけない程簡単であった。 では、併結の場合はどうか。 私が乗る『こまち24号』は、盛岡駅で『やまびこ24号』に併結することになっている。 5分の遅れを引きずったまま、『やまびこ・こまち24号』は盛岡を出発した。 盛岡出発時点で、『こまち24号』の車内はすでに満席である。新幹線とは言うものの、車体の大きさは在来線と同じなので、視覚的にはちょっと窮屈な感じがする。車窓には、時々町の明かりが見えるが、乗り慣れた東海道新幹線と違って、いったいどのあたりを走っているのか、皆目見当がつかない。 仙台で、かなりの客が下車する。下車したのと同数の客が乗り込むので、満席の指定席車内の様子は一見変化がない。しかし、耳をそばだてると、それまでの東北訛りに代わって、車内の東京弁密度がぐっと上がっているのがわかる。 私の隣の席に、ゴルフ帰りらしい壮年の男性4人が乗り込んできた。 大宮で1/3位の客が下車し、終着・東京に向かう。 一旦改札口を出て、急いで夕食の弁当を調達。今度はJR東海の東海道新幹線改札口から入場する。 東海道新幹線東京駅は、同じ新幹線でも、JR東日本のそれとはまったく異質の世界であるような印象を受ける。駅や車両のデザインはずっとシンプルな感じだが、それがかえって『新幹線の本家・家元はこっちだぞ』と訴えているようにも思える。 何組もの遠距離恋愛カップルが、別れを惜しんでいる。無機的な新幹線の時代になっても、『駅』は人の感情を高ぶらせる何かがあるのであろう。 今夜の新大阪行き新幹線は、あと3本である。 |
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2001年11月10日 制作
2002年1月11日 修正