JR vs 高速バス

 九州の都市間輸送において激しく競争しているJRと高速バス。
 そこで、福岡(博多)を起点に、九州の各県庁所在地間までの所要時間と運賃を比較してみた。(出典:JTB時刻表 2000年4月号)
 福岡側の起点は博多駅(バスは博多駅交通センター)、JRの片道運賃は運賃+自由席特急料金、往復割引運賃は『指定席往復割引きっぷ』等のいわゆる企画きっぷの値段である。

 所要時間だけを比べれば、宮崎を除いてJRが優位にあると言える。ただし、バスは全便福岡の繁華街に位置する西鉄天神バスセンターを経由しており、博多駅交通センター-西鉄天神バスセンター間に約16〜18分を要していることに注意すべきである。

 運賃面ではバスが優位である。しかし、JRも負けてはいない。『指定席往復割引きっぷ』・『自由席往復割引きっぷ』等のいわゆる企画きっぷは、恐ろしい割引率でバスに対抗している。
 たとえば、福岡-佐賀間の往復割引運賃は2,500円であるが、これはこの区間の往復乗車券と同じ値段である。往復JRを利用するなら、タダで特急に乗せてあげましょうというわけだ。福岡-宮崎間ではもっとすさまじく、『指定席往復割引きっぷ』(11,900円)は、単なる往復乗車券(14,080円)より安い。
 しかし、JRが出血覚悟の大サービスしても、実は福岡-宮崎間の都市間輸送はバスに勝てないのである。
 博多-宮崎間は405.5Km(営業キロ)、地図で見ればわかるがJRは小倉から大分を大きく迂回、しかも急カーブが多い単線区間であるからいかにも分が悪い。他方、高速バスは、九州自動車道と宮崎自動車道を経由する最短経路での運転だ。更に片道5時間を超えるとなると、航空機だって競争相手になってくる。福岡-宮崎間の航空運賃は16,500円、所要時間40分。JRより多い1日11往復のダイヤが組まれている。

 福岡-宮崎間についてはJRも『勝負あり』と考えたのか、この春(2000年3月)のダイヤ改正で直通列車(にちりん)の本数を減らし、更に使用車両もビュフェや個室のついた787系から一世代古い783系にグレードダウンしてしまった。代わりに県北部の延岡や日向と宮崎空港を直結する特急『ひゅうが』を新設している。航空機と組んで、スピード面でバスに対抗しようという作戦であろう。

■福岡-熊本

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 1時間15分 3,440円 4,600円(自由席)  
バス 2時間06分 2,400円 4,300円 終点:熊本交通センター

■福岡-鹿児島

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 3時間40分 7,870円 10,500円 終点:西鹿児島
バス 3時間48分 5,300円 9,000円 終点:西鹿児島駅前

■福岡-佐賀

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 36分 2,000円 2,500円(自由席)  
バス 1時間05分 1,250円 2,250円 起点:西鉄天神BC

■福岡-長崎

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 1時間47分 4,410円 7,500円  
バス 2時間32分 2,900円 5,100円  

■福岡-大分

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 1時間59分 5,250円 7,400円  
バス 2時間27分 3,100円 5,500円 終点:フォーラス前

■福岡-宮崎

  所要時間(最速) 片道運賃 往復割引運賃 備考
JR 5時間42分 9,460円 11,900円  
バス 4時間13分 6,000円 10,000円  


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2000.4.20制作 2000.4.21訂補