VR-120は、バーテックススタンダード(→と言っても何のことやらさっぱり分からない方も少なくないであろう。八重洲無線が日本マランツの無線機部門を事実上吸収したかたちでできた電子機器メーカである)の携帯型広帯域受信機である。
受信周波数範囲は100KHz〜1299.995MHz(AM・FM・WideFM)、カードサイズ大で単三乾電池2本で動作というスグレモノである。バーアンテナ・イヤホンリードアンテナを内蔵しており、いかにもそれらしいホイップアンテナをつけなくても、放送(中波&FM)の受信はできる。テンキーのないシンプルな外観だが、大容量(640ch)のメモリと多彩な機能を搭載している。
ここで、問題となるのは、『少ないボタン類でどうやって複雑な機能を使いこなすか』である。最近とみに高機能化している携帯電話端末等も同様であるが、その両立は極めて難しい。
VR-120の場合、ファンクションキーの併用・ボタン長押しなどを駆使してはいるが、LCDディスプレイはアルファベット6文字しか表現できないため、マニュアルなしでは、操作に戸惑うこと請け合いである。
そこで、VR-120のマニュアルをサマライズしてみた。なお、ここに示したのは、VR-120の操作の一部であって、その機能のすべてを解説したものではないので、ご承知願いたい。
[FUNC]:ハンディタイプのトランシーバならば、PTTボタンの位置にあるファンクションキー。
[MONI]:一時的にスケルチを開放する。[FUNC]+[MONI]でダイヤルロック。
[PWR]:電源スイッチ。2秒以上の長押しで、電源ON/OFFのトグル動作をする。
[BND▲]:受信バンド(12バンド)を切り替える。周波数の低いバンドから高いバンドに順次切り替わるが、[FUNC]を同時に押すことにより、低いバンドに切り替えることができる。
[V/M]:VFOモードとメモリモードの切り替え。
[SCAN]:スキャンを開始する。
[MODE]:電波形式を変更する。
1. メモリ書き込み
1) VFOモードにする。
2) メモリに書き込む周波数・電波形式をセットする。
3) [FUNC]+[V/M]→"MW NAM"が表示され、何も書き込まれていない最小のメモリチャンネル番号が表示される。
4) 必要があれば、ダイヤルつまみを回して希望するメモリチャンネル番号を選択する。
5) [FUNC]+[V/M]
※4)の代わりに[V/M]を押すと、書き込み中止。
2. メモリ呼び出し
1) メモリモードにする。
2) ダイヤルつまみを回し、希望するメモリチャンネル番号を選択する。
3) [V/M]→メモリ呼び出しをする前の周波数でVFOモードに戻る。
4) [BND▲]→メモリチャンネルの周波数をVFOにセットし、VFOモードに戻る。
3. メモリ消去
1) メモリモードにする。
2) ダイヤルつまみを回し、消去したいメモリチャンネル番号を選択する。
3) [FUNC]+[V/M]→"CLEAR"が表示される。
4) [FUNC]+[V/M]
※4)の代わりに[V/M]を押すと、消去中止。
4. メモリチャンネルに名前をつける
1) 名前をつけたいメモリチャンネルを呼び出す。
2) [FUNC]+[SCAN]
3) DIALつまみを回して、文字を選択する。[FUNC]を押しながらDIALつまみを回すと、対象となる桁(点滅している)を変更できる。
4) 文字全部の入力が済んだら、[FUNC]+[V/M]
1. 任意範囲内スキャン
1) VFOモードにする。
2) VFOに下限周波数を設定する。
3) [FUNC]+[SCAN](長押し)
4) VFOに上限周波数を設定する。
5) [FUNC]+[SCAN](長押し)
6) スケルチを閉じる。
7) [SCAN]→スキャン開始。
8) [V/M]でスキャン停止。
2. サーチバンドメモリ書き込み
1) 1.の手順でスキャンを開始する。
2) [FUNC]+[SCAN](長押し)
3) [FUNC]を押しながらダイヤルつまみを回し、書き込みたいサーチバンドメモリを呼び出す。
4) [FUNC]+[SCAN](長押し)
※サーチバンドメモリはL00〜L07の8組。L--は、任意範囲内スキャンの周波数が書き込まれる。
3. サーチバンドメモリスキャン
1) スケルチを閉じる。
2) [SCAN]→スキャン開始。
3) [FUNC]を押しながらダイヤルつまみを回し、希望するサーチバンドメモリを呼び出す。
4) [V/M]でスキャン停止。
4. メモリチャンネルスキャン(PMS)
指定したメモリチャンネルのみをスキャンする方法。
1) メモリモードにする。
2) DIALつまみを回し、スキャンしたいメモリチャンネルを呼び出す。
3) [SCAN]長押し→LCDに"PS"が表示される。
4) 2)3)を繰り返して、更にスキャンしたいメモリチャンネルを指定する。
5) [SCAN]
6) [SCAN]長押し。
7) [V/M]でスキャン停止。
5. スキップ周波数設定
1) VFOモードにする。
2) VFOにスキップ周波数を設定する。
3) [FUNC]+[V/M]→"WRITE"が表示され、何も書き込まれていない最小のスキップメモリチャンネル番号が表示される。
4) 必要があれば、ダイヤルつまみを回して希望するスキップメモリチャンネル番号を選択する。
5) [FUNC]+[V/M]
6) [V/M]→VFOモードに戻る。
※スキップメモリチャンネルは00〜63の64組。
6. スキャン中のスキップ周波数設定
1) スキャンを開始する。
2) スキップすべき周波数で停止したときに、[FUNC]+[V/M]→"WRITE"が表示され、何も書き込まれていない最小のスキップメモリチャンネル番号が表示される。
3) 必要があれば、ダイヤルつまみを回して希望するスキップメモリチャンネル番号を選択する。
4) [FUNC]+[V/M]
5) [V/M]→VFOモードに戻る。
7. スキャン再開条件
スキャン中に[SCAN]を押すごとに、スキャンが停止したあとの再開条件を変更できる。
1) 白ヌキ"B"表示なし
信号消失2秒後もしくは5秒間信号を受信したあと、再開。
2) 白ヌキ"B"点滅
信号消失まで受信し続け、その2秒後再開。
3) 白ヌキ"B"表示
信号消失後もスキャンを再開しない。ダイヤルつまみを回すことで、スキャン再開。
1) VFOモードにする。
2) [FUNC]+[SCAN]
3) DIALつまみを回して、設定したいセットモード番号を選択する。
4) [FUNC]を押すと、現在の設定が表示される。
5) [FUNC]を押しながらDIALつまみを回して、設定値を選択する。
6) [FUNC]+[SCAN]
セットモードで変更できる内容は以下のとおり
00 STEP:周波数ステップの設定。AUTOにすると、受信周波数に合わせて最適の値が選択される。
01 F STEP:[FUNC]を押しながらDIALつまみを回したときの周波数ステップ。
02 LAMP:LCD照明の設定。
03 SAVE:バッテリーセーブの設定。受信時間は250msecで固定されているので、休止時間を設定する。
04 OFFTIM:設定した時間が経過すると自動的に電源断とする機能。
05 PAUSE:スキャン中、信号が入感した際の受信時間。
06 BEEP:キー操作音の設定。
07 VOLT:[FUNC]を押しながらDIALつまみを回すと、電池電圧が表示される。
08 SM SEN:Sメータの感度の設定。(FMのみ有効)
09 SM BUZ:Sメータブザーの設定。
10 GROUP:プリセットメモリの内容選択。
11 SEARCH:サーチ動作の切り替え。サーチバンドメモリを利用して、一定範囲内をスキャンするときは、"LIMIT"に設定する必要がある。
12 SCHMEM:サーチバンドメモリの設定周波数を確認できる。
13 MEMORY:スキップメモリ機能を使うには、"SKIP"を選択する必要がある。
14 SCAN:メモリスキャンの動作設定。"ALL"にすると全メモリ、"BANK"にするとひとつのメモリバンク内の周波数のみ。
15 B LINK:メモリスキャンにおいて、ひとつのメモリバンク内の周波数のみスキャンする場合、そのメモリバンクを指定する。
16 BANKCL:メモリバンク内の周波数を一括消去。選択ののち、[FUNC]+[V/M]で消去。
17 SKIPCL:スキップメモリの一括消去。
18 DW/PW:デュアルレシーブ/プライオリティワッチの切り替え。
19 S SCH:スマートサーチの動作設定。
20 CH CNT:チャンネルカウンターサーチの幅。
21 FLEX S:ステップを変更した際、電波形式に合致した周波数に補正するか否かを設定。
22 AM ANT:中波放送受信時のアンテナを選択。
23 FM ANT:FM放送受信時のアンテナを選択。
24 OTM:ワンタッチモードの選択。
25 GAME:ゲームモードの選択。
1. メモリの内容を除く全リセット
1) VFOモードで電源を切る。
2) [FUNC]+[MONI]を押しながら電源投入→"SYSRST"表示。
3) [FUNC]+[V/M]
2. メモリ内容を含む完全初期化
1) VFOモードで電源を切る。
2) [FUNC]+[MONI]+[BND▲]を押しながら電源投入→"ALLRST"表示。
3) [FUNC]+[V/M]
※完全初期化に伴って、メモリチャンネル600〜900台は、放送(中波・短波・FM)の周波数が書き込まれる。便利と思うか、余計なお世話と思うかはユーザーの考え方次第。ちなみに、私は『余計なお世話』と思います。
ここに記載した内容は、メーカーの公式発表以外に私が独自に解析したものが含まれます。操作の結果についての責任は負いかねますので、あなたの自己責任で行ってください。 |
(C)Heian Software Engineering
2000.10.26 制作
2001.10.27 訂補