P-inのtips

 P-inはNTT DoCoMoのカード型PHS端末です。パソコンのカードスロットに差し込んで、面倒なケーブル接続をすることなくモバイルが愉しめます。P-in活用のヒントを公開します。

■P-inをMacintoshで使用する

 P-inが使えるOSは、公式にはWin95/98のみ。Macユーザーの私としてはちょっぴり腹立たしいところです。
 でも、DC-2Sなどのデータカードが使えるんだから、P-inだって...と強引にやってみました。結果は案外簡単! 次に示す方法で快適に使用することができました。内蔵PHSの機能を使う場合の例です。

 私の環境は、つぎのとおりです。

 フロー制御など、若干疑問の余地があるのですが、今のところ障害がないので、これでいいことにしてます。
 モデム初期化コマンド中、"#sy1=os2"は、オフィスステーション2として登録した親機を介して接続することの指定です。公衆モードで使う場合は、"os2"を"phs"に代えればOKです。
 P-inはまず64Kでの発呼を試みますが、親機であるIW60は64K通信には対応してないので、自動的に32Kで接続します。

■ATコマンドとSレジスタについて

 P-inの制御はATコマンドによります。ターミナルソフトを使用することによって、P-inの動作を細かく指定できます。
 ATコマンドとSレジスタのうち、P-in特有のものをリストアップしてみました。(全部ではありません)

●ATコマンド

ATコマンド Cn
機能 課金情報・圏内/圏外表示
書式 ATC0 : 課金表示しない・圏内/圏外表示しない
ATC1 : 課金表示する・圏内/圏外表示しない
ATC2 : 課金表示しない・圏内/圏外表示する
ATC3 : 課金表示する・圏内/圏外表示する
解説

■課金表示
 データ通信終了時、つぎの形式で通話料金を表示する。

CHARGE=n

※nは2桁以上の数字。単位は円。表示不能の場合は、『CHARGE=**』

■圏内/圏外表示

 圏内から圏外になったとき

OUT OF SERVICE

 圏外から圏内になったとき

IN VOICE/DATA/FAX SERVICE

備考 PDC接続時のみ有効。

ATコマンド D
機能 発呼
書式 ATD[パラメータ][電話番号]
解説

■発呼を行う。内蔵PHSまたは外部PDCのいずれを使用するかはパラメータによって判断される。

1) パラメータによる指定-1

・内蔵PHSでの音声発呼
 パラメータに"S"がある場合。
・外部PDCでの音声発呼
 パラメータに";"または"V"がある場合。パラメータに"Q"がある場合、外部PDCでの音声発呼となるが、3秒後に切断される。
・外部PDCでのデータ発呼
 パラメータに"J"がある場合。

2) パラメータによる指定-2

 1)に該当せず、パラメータに"P"を指定した場合は、内蔵PHSによるPTE経由の発呼となる。

3) サブアドレスによる指定

 1) 2)に該当しない場合は、電話番号で指定された発サブアドレスを参照する。

・内蔵PHSでのデータ発呼
 サブアドレスに"#32"または"#64"が指定された場合。
・外部PDCでのデータ発呼
 サブアドレスに"#9600"が指定された場合。

■パラメータ

●L, N
 最終発呼番号へのリダイヤル。
●#
 発サブアドレスの区切り。S104レジスタで"#", "%", "&"のいずれかに変更可能。ただし、発サブアドレスとしては、"32", "64", "9600"以外は指定不可。
●*
 着サブアドレスの区切り。S103レジスタで"/", "\", "*"のいずれかに変更可能。着サブアドレス指定は内蔵PHS使用時のみ有効で、数字以外のアルファベットなども指定可能。

■例

●ATDS 070-1234-5678
 070-1234-5678への内蔵PHSの音声発呼。当然のことながら、あらかじめイヤホンマイクを接続しておかないと通話はできない。

●ATD 06-6123-4567#32
 06-6123-4567への内蔵PHSの32K PIAFSによるデータ発呼。

備考 "Q"パラメータの意味がよくわからないのですが、相手方に番号通知のみを行う目的で使用するのでしょうか。

ATコマンド SC0=n
機能 着信音・圏外警報音の設定
書式 ATSC0=0 : 着信音・圏外警報音を鳴らさない
ATSC0=1 : 着信音・圏外警報音を鳴らさす
解説 内蔵PHSの着信音・圏外警報音をパソコンのスピーカから鳴らすかどうかを設定する。
備考  

ATコマンド Un
機能 発着信番号表示の設定
書式 ATU0 : 発信番号の表示なし・着信番号の表示なし
ATU1 : 発信番号の表示あり・着信番号の表示なし
ATU2 : 発信番号の表示なし・着信番号の表示あり
ATU3 : 発信番号の表示あり・着信番号の表示あり
解説

■発信番号表示
 発信番号は、CALLING-ID=発アドレス/発サブアドレスで表示される。

■着信番号表示
 着信番号は、CONNECTED-ID=着アドレス/着サブアドレス : 通信内容で表示される。
 通信内容の意味はつぎのとおり。

PHS 32KDATA : PHS32Kデータ
PHS 64KDATA : PHS64Kデータ
PHS VOICE : PHS音声
FAX : PDCファクシミリ
VOICE : PDC音声
DATA : PDCデータ

※網側から番号の通知がないときは、PDCでは"**"、PHSでは"-"が表示される。

備考 PDCの場合、サブアドレス部はありません。

ATコマンド &P
機能 外部PDCの番号表示
書式 AT&P
解説

接続されている外部PDCの電話番号(ドッチーモの場合はPDCの電話番号)を表示する

電話番号 : 090-1234-5678のPDCが接続されているとき

PDC-ID=09012345678

備考 内蔵PHSの番号は#SN?コマンドで表示される。

ATコマンド #SN?
機能 内蔵PHSの番号表示
書式 AT#SN?
解説 内蔵PHSの現在のモードの電話番号を表示する。
備考 モードを変更するには#SYn=mを使う。

ATコマンド #SYn=m
機能 内蔵PHSのモード設定
書式 AT#SYn=m
解説

■nパラメータ

0 : 順次指定
1 : 一括指定

■mパラメータ

PHS : 公衆モード
OS1 : オフィスステーション1
OS2 : オフィスステーション2
OS3 : オフィスステーション3
HA1 : ホームアンテナ1
HA2 : ホームアンテナ2
HA3 : ホームアンテナ3
TRS : トランシーバ

■例

●AT#SY1=OS2

 オフィスステーション1モードに変更する。

備考 オフィスステーションやホームアンテナは、あらかじめ登録しておく必要があります。オフィスステーションの登録をしないとトランシーバモードを使えないのは、通常のPHSと同じです。
PHSでの発呼を自動化するプログラムを考えるときは、モードのことを考慮しないと思わぬことになります。(例 : オフィスステーションモードで発呼したつもりが公衆モードで、あとで多額の通信料金を請求されたetc。)

ATコマンド #SY?
機能 内蔵PHSのモード表示
書式 AT#SY?
解説

■リザルトコード

PHS : 公衆モード
OS1 : オフィスステーション1
OS2 : オフィスステーション2
OS3 : オフィスステーション3
HA1 : ホームアンテナ1
HA2 : ホームアンテナ2
HA3 : ホームアンテナ3
TRS : トランシーバ

備考  

●Sレジスタ

Sレジスタ S35
機能 Qパラメータによる回線切断時間
設定範囲 0〜255(sec)
解説 Qパラメータをつけた発呼時、回線を切断するまでの時間を指定する。初期値=3
備考  

Sレジスタ S86
機能 網切断理由
設定範囲 0〜255
解説

網から切断された理由を保持する。

00 : 切断理由なし
01 : 欠番
02 : 正常切断
16 : 正常切断
17 : 着ユーザーbusy
18 : 着ユーザーレスポンスなし
19 : 相手ユーザー呼び出し中
20 : 相手ユーザー圏外
21 : 通信拒否
22 : 加入者番号変更
27 : 相手端末故障
28 : 無効番号フォーマット
34 : 利用可能回線/チャネルなし
38 : 網障害
41 : 一時的障害
42 : 交換機輻輳
44 : 要求回線/チャネル利用不可
88 : 端末属性不一致

備考 PHSによる通信時のみ有効

Sレジスタ S103
機能 着サブアドレスの区切り
設定範囲 0 : "/"
1 : "\"
2 : "*"
解説 着サブアドレスを指定する場合の区切り文字。初期値=2
備考 PHSによる通信時のみ有効

Sレジスタ S104
機能 発サブアドレスの区切り
設定範囲 0 : "#"
1 : "%"
2 : "&"
解説 発サブアドレスを指定する場合の区切り文字。初期値=0
備考 PHS/PDC共に使用可能だが、現実には通信速度の指定に流用されているので、発サブアドレスを任意に指定して"タダベル"することは不可能。

Sレジスタ S141
機能 通信速度指定
設定範囲 0 : 32Kbps
1 : 64Kbps
解説 通信速度の指定。初期値=1
備考 PHS時のみ有効。

Sレジスタ S142
機能 フォールバック指定
設定範囲 0 : フォールバックしない
1 : フォールバックする
解説 64Kデータ通信時、64K通信ができないときに自動的に32Kで再ダイヤルするかどうかの指定。初期値=1
備考 PHS時のみ有効。通常使用の場合は、S141・S142共、初期値のままでOK。64K/32K、いずれで接続したかはLEDで確認可能。

■オフィスステーションへの登録/解除について

 オフィスステーションへの登録も、ATコマンドを使います。
 オフィスステーションモードで子機登録できる家庭用親機(NEC AtermIW60, DoCoMo P-link Stationなど)には、『販売店様資料』として、子機登録の方法を解説した資料が添付されています。そこに記された一般的な端末側の操作に代えて、ターミナルソフトから下記のコマンドを送ればOKです。

●登録

1) AT#SOMODE [Enter]
2) AT#SO1,00,X,Y,Z[Enter]
 X:OSモード番号(1〜3)
 Y:内線番号
 Z:暗証番号

●登録解除

1) AT#SOMODE [Enter]
2) AT#SO1,128,X,Y,Z[Enter]
 X:OSモード番号(1〜3)
 Y:内線番号
 Z:暗証番号

■LED表示について

●肉眼でP-inの動作状況を確認する唯一の手段がこのLED表示です。

●点滅パターンは次のとおり

※電源断・圏外・外部PDC使用時は消灯しています。

 ここに記載した内容は、メーカーの公式発表以外に私が独自に解析したものが含まれます。操作の結果についての責任は負いかねますので、あなたの自己責任で行ってください。

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2000.8.15 制作