FT-817のピンアサイン

 FT-817は、(株)バーテックススタンダード製のポータブルトランシーバーである。

 弁当箱大の小さな無線機だが、1.9MHzから430MHzまでの全アマチュアバンドをオールモードでカバーする。2000年秋の発表からすでに6年以上が経つが、未だにコンスタントに売れているらしい。

 人気の秘密は、恐らくはFT-817が『ちょっと手を加えて遊ぶ』には絶好の素材だからだ思う。
 多層基板とチップ部品で構成された無線機内部に手を入れるのは容易ではないが、アンテナ、電源、コンピュータによる制御(CAT)、リニアアンプetc、自作のアクセサリを接続して、思い思いの愉しみかたができる。
 つまり、FT-817は、中高生の頃、無線機いじりに目を輝かせたオジサンたちが、ふたたび少年時代のココロを取り戻せる無線機なのである。

 アクセサリを接続するには、当然のことながら、各端子のピンアサインを知る必要がある。
 そこで、マニュアルと回路図から、FT-817の外部接続端子の情報をまとめてみた。あなたの知的冒険の道しるべになれば幸いである。

MIC端子

pin 信号名 Rmks
1 FAST  
2 GND  
3 PTT GNDに落とすと送信。
4 MIC コンデンサマイクは直接接続できない。
5 GND  
6 +5V 10Ωの抵抗を介して+5Vにプルアップ。
7 UP  
8 DOWN  

 RJ-45というLANでおなじみのジャック。
 プラグを買って来ても、専用の圧着工具がないとリード線を接続できない。信号の取り出しには、既製品のLANケーブルを適当に切断して使うとよい。ただし、安物はフル結線でないので注意。
 +5Vが出ているので、ちょっとしたアクセサリ回路を接続するには便利だが、受信信号が接続されていないので、スピーカーマイクは接続できない。

DATA端子

pin 信号名 Rmks
1 DATA IN インピーダンス:10KΩ
最大入力レベル:40mVpp(1200bps), 1.0Vpp(9600bps)
AFSK信号(RTTY,PSK31など)信号もここに接続する。
2 GND  
3 PTT GNDに落とすと送信。
4 DATA OUT
(9600bps)
インピーダンス:10KΩ
最大入力レベル:500mVpp
5 DATA OUT
(1200bps)
インピーダンス:10KΩ
最大入力レベル:300mVpp
スケルチ制御されたあとの受信音声が出力されている。
6 SQL スケルチが開いたとき:+5V
スケルチが閉じたとき:0V

 6pin Mini DINジャック。
 Mini DINプラグのハンダ付けは、結構細かい作業になる。PC/ATパソコンのキーボード/マウスジャックと同じなので、壊れたキーボードからケーブルだけを流用してもよい。

ACC端子

pin 信号名 Rmks
1 +13.8V 10Ωの抵抗を介して電源ラインにプルアップ。PWRスイッチは介していない。
2 TX GND オープンコレクタTrを通して、送信時にGNDに落ちる。
3 GND  
4 TX D FT-817からのCAT信号。TTLレベル。
5 RX D FT-817へのCAT信号。TTLレベル。
6 BAND DATA バンド情報がアナログ電圧で出力される。(下表参照)
7 ALC  
8 TX INH  

BAND(MHz) 電圧(V) BAND(MHz) 電圧(V)
1.9 0.33 21 2.33
3.5 0.67 24.5 2.67
7 1.00 28 3.00
10 1.33 50 3.33
14 1.67 144 3.67
18 2.00 430 4.00

ACC 6pinに出力されるバンド情報

 8pin Mini DINジャック。リニアアンプ関連の信号とCAT信号が引き出せる。QROする気はさらさらないのでリニアは無縁だが、CATは大変興味がある。

 マニュアルに掲載されているCATコマンドは、FT-817の現在の運用周波数や電波形式を変更するものだけだが、実は"裏コマンド"として、内部のフラッシュメモリを直接読み書きするコマンドがあり、メモリ内容等の編集も可能なようだ。(後述のリンク参照)

外部電源端子

 純正品として、外部電源ケーブル(E-DC-6)が用意されているが、どうやらEIAJ極性統一型DCプラグ(電圧区分2)で代替できるようだ。
 電源電圧は、8.0〜16V。送信時には2Aもの電流が流れるので、純正のE-DC-6でも0.5Vくらい電圧が下がる。もう少し容量的に余裕のあるジャックを採用したほうがよかったと思う。

KEY端子

 3.5mmφのステレオミニプラグでパドルを接続すると、内蔵のエレクトリックキーヤーを利用できる。一般的な縦振れ電鍵を使うときは、モノラルプラグでOKだ。

SP-PH端子

 外部スピーカ兼ヘッドホン端子は一般的な3.5mmφのミニプラグ。
 マニュアルでは、左図のごとくモノラルジャックを使うことになっているが、実はステレオヘッドホンでも、ちゃんと両耳から聞こえる。

参考リンク

※本稿のイラストは、英文のFT-817ND Operating Manual から引用した。(一部改変)

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制作:2006年12月31日 修正:2006年12月31日